2024年1月1日に発災した能登半島地震。発災から半年以上が過ぎているというのに、被災地の景色はほとんど変わらず、災害関連死は増え、前例にない復興の遅れが各方面から指摘されています。人とともに暮らしていた動物はいったいどうなっているのか。災害時だからといって、ペットの救援は後回しでは、人も動物も救われません。ペットを救うことは人を救うことにもなるのです。
私たち一社)東京都人と動物のきずな福祉協会は、能登半島地震の被災猫たちの救援活動を行なっています。飼い主が被災して、飼育の継続を断念し、石川県に引き取られた被災猫たちを引き取り、東京の動物病院でメディカルチェック、治療、手術を受けさせ、シェルターで健康管理とケア、社会化して、譲渡先を見つける活動です。
発災から1か月を過ぎた2月6日、東京では珍しい降雪で大混乱の羽田空港から小松空港へ飛び、石川県南部小動物管理指導センターに収容されていた11歳と9歳の2頭を航空便で連れて帰ってきました。これが第1便ということになります。環境省動物愛護管理室の「広域譲渡モデル事業」に協力しての活動のスタートでした。
飼い主さんが生活再建の目途が立たずに、泣く泣く所有権を放棄した愛猫たちです。避難所に暮らす方の愛猫もいました。
どの猫たちも人間が大好きで、私たちにも最初から心を開いてくれました。いかに飼い主さんから大事にされていたかが猫を通して感じることができ、胸がきゅっと絞めつけられる思いでした。
第2便では2月12日に環境省動物愛護管理室の職員らが東京まで搬送してきた7頭を、第3便では3月7日に6頭を受け入れました。被災猫たちを受け入れる活動を通じて、能登半島地震の被害の深刻さと、被災動物の救援活の遅れを実感しています。
4月中旬、金沢市と隣接する津幡町にいしかわ動物愛護センターが開設され、能登北部からの被災動物が移されるようになりました。私たちは、石川県に協力して、いしかわ動物愛護センターに収容されている被災猫たちを直接、引き取る活動をスタート。5月9日に2頭を、6月19日に8頭を東京に連れて帰ってきました。
いしかわ動物愛護センターとしては、健康状態に問題のない、人馴れしている猫や子猫は県内で譲渡したいとのこと。
私たちは、人馴れしていない、医療にかけなければ救われない猫たちを東京に優先的に搬送して、メディカルチェック、治療、手術を受けさせ、シェルターで健康管理とケア、社会化して、譲渡を進めています。
全身がノミだらけで吸血されて極度の貧血でやせ細った猫
血の混ざったよだれを流し続け、人を威嚇する猫
東京に搬送し診療。
口腔内の状態が悪化しており抜歯に。
抜歯後は感染症に注意しての治療が続けられた。
4月以降の能登半島地震の被災猫への支援について、当会はどこからの助成も受けていません。動物保護、福祉は公的な助成や支援が届きにくい分野です。猫の保護や譲渡活動、保護猫ホーム・老猫ホーム、シェルターの運営、医療費、食費などの多くは、有志の方のボランティアやご寄付によって成り立っています。